腎臓病

犬と猫の腎臓病について┃老犬・老猫の多飲多尿に注意

腎臓は血液をろ過し、体内の老廃物や毒素、電解質バランスを調整し、尿として排出しています。この過程により、体内の液体量、電解質のバランス、血圧が維持され、また血液中の廃棄物が取り除かれます。これらの腎臓の機能が低下するのが腎臓病で、尿路感染、中毒などで急速に悪化する急性腎障害、加齢等に伴って緩やかに腎機能が低下する慢性腎臓病の二つに大別されます。

このページでは、犬と猫の腎臓病の原因や症状、治療法などについて解説します。

原因

急性腎障害

急性腎障害は急性腎不全という呼び方でも知られ、数時間〜数日という短い期間で急激に腎臓の機能が低下します。急性腎不全の原因としては、下記のように分けられます。

腎臓そのものにダメージを受け、機能が低下している状態です。尿路感染による細菌性腎盂腎炎や、薬物の摂取、毒物の摂取 (ブドウ、ユリ、など)、糸球体腎炎などの自己免疫性疾患、リンパ腫、アミロイドーシスなどの病気が原因で起こります。

*尿路結石等による尿路閉塞(尿管、尿道)でも、急性腎障害の症状がみられますが、閉塞さえ取り除けば、腎臓そのものは正常に機能しています。

尿路結石症についてはこちらで解説しています

慢性腎臓病

慢性腎臓病のはっきりとした原因は解明されていませんが、多くは加齢と関係が深いといわれており、犬、猫とも高齢でよくみられます。

猫では特定のウイルス感染の影響や、あまり水を飲まないことなどが関連しているとも考えられています。

また、近年ではAIM (apoptosis inhibitor of macrophageの略称)という遺伝子が、猫では十分に機能しておらず、この遺伝子が猫で慢性腎臓病が多発する原因ではないかと考えられています。

慢性腎臓病は特に高齢猫の疾患として非常に有名であり、「15歳以上の猫の約80%が慢性腎臓病」という報告もあるため、注意が必要です。

症状

急性腎障害

急性腎障害では元気・食欲の低下、嘔吐などの体調不良が突然発症し、急速に進行します。これらの症状はその他の疾患でも認められるため、臨床症状から急性腎障害を疑うことは難しいと言えます。

慢性腎臓病

慢性腎臓病の重要な初期症状は飲水量と排尿量の増加(多飲多尿)ですが、体調不良は気付かないことも多いです。元気・食欲の低下、嘔吐等の体調不良がはっきり現れた時には、慢性腎臓病がすでに進行してしまっていることになります。

慢性腎臓病が進行すると、尿中に排出されるべき老廃物(尿毒素物質)が体内に蓄積することにより尿毒症に陥ります。
重度の尿毒症では、神経の異常(痙攣、意識の低下)などが現れることもあります。

診断方法

腎臓病の診断は、様々な検査を組み合わせ、総合的に判断していきます。身体検査、血液検査や尿検査、画像検査 (レントゲン検査やエコー検査)などを行います。また、まれではあるものの腎臓生検を行う場合もあります。

各検査の主な内容は以下の通りです。

身体検査

触診で栄養状態、皮膚の脱水、腎臓の形等を主にチェックします。

血液検査

腎臓病の場合、BUN (尿素窒素)、クレアチニン、SDMAなどの数値が上昇します。血液検査で軽度な異常を示した時点で、腎機能の75%近くが失われています

尿検査

尿比重(体液の比重に近い薄い尿)、タンパク、細菌感染、潜血の有無などを評価します。

画像診断(レントゲン、エコー)

レントゲン検査は腎臓や膀胱の輪郭と全体像を調べます。

エコー検査は腎臓や膀胱内部の断面を見ることで、内部構造を観察します。

治療方法

腎臓病治療では、まず輸液療法(点滴)により体に水分を補給し尿の産生を促すことが重要です。さらに腎機能低下のそれぞれの原因に対して治療を行います
例えば、尿路感染による細菌性腎盂腎炎の場合は抗生剤の投与、腎毒性のある薬剤の中止等です。
急性腎障害では一時的に低下した腎機能が回復するチャンスもあります。

慢性腎臓病の場合すでに低下した腎機能をもとに戻すことは困難ですが、今ある腎機能を最大限生かし、維持していく戦略で治療を行います。

食事療法
腎臓病処方食(主にタンパク質、リン、ナトリウムの含有量が制限されている)は非常に重要で腎臓病の悪化を和らげ余命を伸ばす効果があることが分かっています。

輸液療法
脱水を防ぎ、尿量を増やし、尿毒素の排出を促します。
定期的な通院で実施することを考慮します。

腎臓保護薬
腎臓を保護する作用のある薬剤もあります。

予防法やご家庭での注意点

腎臓病を予防するためには、日頃から人間の食べ物を与えない、常に新鮮なお水を飲めるようにする、犬猫の腎臓にダメージを与えるものを家に置かないなどが大切です。
特にブドウやユリ科植物は腎臓に大きな負担をかけるため注意してください。

また、近年では食事療法の進化により腎臓病の進行スピードを遅らせることが可能となりました。食事療法について、気になることがあればお気軽に当院までご相談ください。

まとめ

腎臓病は早期発見・早期治療を行うことが何よりも重要です。一度失った腎臓の機能は回復しないため、普段から定期的に動物病院で血液検査を含めた健康診断を受診するようにしましょう。

兵庫県尼崎市と伊丹市との境目、塚口にある動物病院 「しろうま動物病院」
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<参考文献>
Marino, Christina L., et al. "Prevalence and classification of chronic kidney disease in cats randomly selected from four age groups and in cats
recruited for degenerative joint disease studies." Journal of feline medicine and surgery 16.6 (2014): 465-472.

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