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全身麻酔について

動物は人と違い治療の意味を理解できないため、動物に手術をする際、ほとんどの場合全身麻酔が必要となります。
例えば歯石の除去や、内視鏡検査にも全身麻酔をかけなければなりません。
全身麻酔と聞くと、危険、麻酔から醒めないのでは?といった悪いイメージを持っている方も多いかと思います。確かに麻酔の危険性はゼロではありませんが、慎重で適正な技術があれば、現在の全身麻酔の安全性は十分に高いものになっています。 当院においても若い犬猫の不妊手術から、高齢動物の腫瘍外科の際まで数多くの全身麻酔を行っております。以下に当院での全身麻酔についてご紹介します。

当院の手術実績の紹介
手術件数
 当院では全身麻酔による手術、検査を2018年の一年間に256件行いました。
        また開院からの累計は2003年〜2018年で3360件になりました。

手術例 
 整形外科  椎間板ヘルニア、骨折創外固定術、前十字靭帯断裂、膝蓋骨脱臼、大腿骨頭切除
 生殖器   避妊手術(犬、猫、ウサギ)、去勢手術(犬、猫、ウサギ)、子宮蓄膿症、潜在精巣摘出
 歯科     歯石除去、抜歯、ウサギ臼歯トリミング
 腫瘍     腫瘍摘出手術(乳腺、子宮、卵巣、精巣、皮膚、腹腔内、口腔内)
 消化器    腸閉塞、胃捻転、胆のう切除、会陰ヘルニア整復、内視鏡(生検、異物摘出)
 泌尿器   膀胱結石摘出、尿管結石摘出、尿管バイパス、尿路変更術(会陰尿道ろう、膀胱腹壁ろう)
 眼科     チェリーアイ整復、瞬膜フラップ、眼ケン内反矯正、眼球摘出
 耳      外耳道切開、外耳道切除
 呼吸器    永久気管切開、軟口蓋切除、肺葉切除

1 安全のために術前の検査をする
全身麻酔をする前には、必ず麻酔と手術に耐えられる体であるかチェックします。これを術前検査と言いとても重要です。これにより健康状態を事前に把握し、あらかじめ対策を講じることで危険を回避できます。

身体検査をする 体重測定(体格)、検温、視診、聴診、触診等を行います。

血液検査をする 採血し内臓の機能を評価します。

必要に応じてレントゲン撮影、超音波検査等で更に詳しく調べます。

血液検査機器
院内で迅速に結果が出せます。

術前検査で異常が見つかった場合、手術を延期、もしくは中止するケースもあります。
また異常があったとしても、治療を行い改善させた後手術をすれば、より安全に手術を行うことができます。

2 血管を確保する

血管に留置針というチューブを取り付けます。このチューブから薬剤や点滴を速やかに繰り返し投与できます。

3 気管内挿管をする

少量の注射麻酔薬を静脈投与し気管にチューブを挿入します。
このチューブから安全性の高い吸入麻酔薬(イソフルラン)と酸素を送り込み呼吸と麻酔を管理します。当院では犬と猫は全ての手術において必ず気管内挿管と血管確保を行っています。

         
4 生体モニターで監視する

麻酔中は常に生体モニターで呼吸、心拍数、心電図、血圧、体温、炭酸ガス分圧、麻酔濃度、酸素飽和度などを監視し異常がないか注意します。

5 麻酔を調整する

動物の状態に合わせ麻酔の深度を深すぎず、浅すぎず、適度に調整します。

← ガス麻酔器

6 手術をする

当院では単回で使い捨てる手術用具の使用を標準としています。

術衣、術野を覆う布、グローブ、メス、縫合糸等は滅菌済の製品を手術毎に新しくします。
これにより、手術がより衛生的で洗練されたものになり手術成績の向上につながっています。






 不妊手術、整形外科、腫瘍外科、歯石除去などさまざまな手術を行っています。

手術には、安全な麻酔管理と衛生管理が必要不可欠です。

当院では以上の手順をふみ、安全に十分配慮し、麻酔と手術のリスクを少しでも減らすために努力しています。

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避妊手術とは

避妊手術とは雌の不妊手術のことで、卵巣のみ、もしくは卵巣と子宮を摘出する手術です。
もともと避妊手術は望まない妊娠を防ぐことが主な目的でした。
しかし現在ではそれ以外にも多数の効果があることが知られており、特に病気を予防する目的で行われるようになっています。
なお当院の避妊手術は、手術時間の短縮と体への負担を少なくするため卵巣のみを摘出することが殆どです。
以下に避妊手術のメリットと予防できる病気について紹介します。

当院実績
当院では避妊手術を2018年の一年間に34件行いました。
また開院以来の累計は2003年〜2018年で777件になりました。

 
■避妊手術のメリット
乳腺腫瘍を予防できる

乳腺腫瘍(悪性の場合乳ガン)は高齢期の犬猫に比較的よく発生する腫瘍です。
乳腺腫瘍は卵巣からでる女性ホルモンの影響で増生する性質をもっているため避妊手術をすると劇的に発生率が低下します。しかし発情を繰り返すごとに腫瘍の予防効果が薄れていくため、若いうちに早く手術するほうが効果的です。当院では、2回目の発情が来る前(6ヶ月〜1才齢)までに手術することをおすすめしています。

乳腺腫瘍の犬
乳腺に大小多数のしこりが見られます。
治療は腫瘍の切除手術を行います。
乳ガンの猫
特に猫の乳ガンは進行が速い危険な腫瘍です。
小さなしこりでも見逃さず早期に手術で切除する必要があります。
子宮蓄膿症などの子宮と卵巣の病気がなくなる

子宮蓄膿症は子宮に細菌が入り込み化膿する病気で中高齢の犬猫によく見られます。
発見が遅れると命にかかわる危険な病気です。また卵巣子宮の腫瘍も比較的よく発生する腫瘍です。

      

摘出した子宮蓄膿症の子宮 

子宮はソーセージの様に拡張し
中には膿汁が充満しています。

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発情がなくなる

猫の場合、発情期の鳴き声に悩まされることが多く、近隣への迷惑にもなります。
避妊をすれば発情することはなくなり、安心して生活できます。
犬の場合発情出血がなくなり、家を汚すこともありません。
次に当院での避妊手術を紹介します。

      
避妊手術の流れ
1 朝食を抜いて来院する

手術当日は絶食して午前中の診療時間12時までに来院してもらっています。
飲水と前日の夕食に制限はありません。

         
2 全身麻酔をかける

避妊手術は本格的な開腹手術で全身麻酔が必要です。
麻酔の詳細については全身麻酔についてを参照してください。

      
3 手術をする

手術は衛生的なオペ室で無菌的に行われます。

お腹の毛を刈り消毒します。 開腹し卵巣を摘出します。

術者、助手、麻酔係が連携し確かな技術で丁寧に行っています。

手術の終了した猫 

猫の場合、切開は3cmほどです。

4 一晩入院し一週間後抜糸する

術後の経過を観察するため一晩入院し翌日退院します。
退院後、通院、消毒や薬は通常必要なく、エリザベスカラーもつけません。

      

一週間後に抜糸した犬

跡の目立たない美しい手術を心掛けています。

  

  

避妊手術は若くて健康であれば、通常安全に行えます。
雌の代表的病気(乳腺腫瘍、子宮蓄膿症等)が予防できる非常に価値の高い手術です。

ぜひ避妊手術をお考えになっていただきたいと思います。

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去勢手術とは

去勢手術とは雄の不妊手術のことで精巣(睾丸)を摘出する手術です。
去勢手術には望まない妊娠を防ぐこという目的以外に、病気を予防したり、行動面でプラスになる効果が知られています。以下に去勢手術のメリットについて紹介します。

当院実績
当院では去勢手術を2018年の一年間に65件行いました。
また開院からの累計は2003年〜2018年で868件になりました。

 
■去勢手術のメリット
ホルモンが影響する病気が予防できる

犬の場合、前立腺肥大、肛門周囲の良性腫瘍、会陰ヘルニアなどは、精巣が作る男性ホルモンの影響で起こるため去勢手術をすることで予防できます。

      

犬の肛門周囲腺腫

男性ホルモンの影響で増生する腫瘍
肛門の周囲に多発することが多い
治療は腫瘍の切除と去勢手術をします。
             
犬の会陰ヘルニア

男性ホルモンの影響で直腸を支える組織が弱くなり起きます。
便通の悪さに困らされます。


精巣の腫瘍がなくなる

精巣の腫瘍は犬において比較的よく発生する腫瘍です。

      
陰睾(潜在精巣)に注意

雄の睾丸(精巣)は必ず二つあり、通常両方とも陰嚢内に納まっています。ところが時々陰嚢に精巣が一つだけであったり、全く無いケースがあります。陰嚢にない精巣は体内(鼠径部、腹腔内)に隠れて存在しており、これを潜在精巣といいます。潜在精巣は正常な精巣と違い、非常に高い確率で腫瘍化することがわかっています。潜在精巣は腫瘍化する前に摘出する必要があります。

      

←精巣腫瘍の犬右鼠径部の潜在精巣が腫瘍化し大きく腫れています。

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雄ならではの困った行動が抑えられる

マウンティング
マーキング、スプレー行動
雌の発情に反応し鳴く、吠える(夜鳴き、無駄吠え)
攻撃的な行動(怒りっぽい、威嚇する、咬む)
雄の犬猫は行動面でやや扱いづらい面があります。それらは去勢手術によって軽減され飼い易くなることが多いです。

以下に当院での去勢手術を紹介します。

      
1 朝食を抜いて来院する

手術当日は絶食して午前中の診療時間12時までに来院してもらっています。
飲水と前日の夕食に制限はありません。

  
2 全身麻酔をかける

去勢手術は全身麻酔下で行います。
麻酔の詳細については全身麻酔についてを参照してください。

      
3 手術をする

手術は衛生的なオペ室で無菌的に行われます。

陰嚢の周囲の毛を刈り消毒します。 精巣を二つ摘出します。

確かな技術で丁寧に行っています。

  

手術の終了した犬 犬の場合切開は3cmほどです。

4 当日夜に帰宅する

手術当日の夜7時半頃お迎えに来てもらいます。
通院、消毒や薬は通常必要なく、エリザベスカラーもつけません。
一週間後に抜糸します。

      

一週間後に抜糸した状態

跡の目立たない美しい手術を心掛けています。
去勢手術は若くて健康であれば、通常安全に行えます。

手術を施すことで雄は飼いやすくなりますし、病気の予防にもなります。

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歯石の付着(歯周病)について

歯周病とは歯の周囲の組織に炎症がある状態で、歯周病菌の繁殖が原因です。
歯周病菌は歯垢の中に含まれており、歯垢は放置されるとカルシウムが沈着し歯石となります。歯石を通常の歯磨きで除去するのは難しく、歯石と歯垢の中で繁殖した歯周病菌は歯周組織(歯ぐき、顎の骨)に炎症を生じさせ、歯周を侵食します。進行すると歯周組織が歯を支えられなくなり歯が抜けてしまいます。またさらに歯周病菌の毒素が口以外の場所に運ばれ心臓や腎臓を障害する危険性も指摘されています。
歯周病にかかっている、犬、猫は非常に多く、3歳以上の犬の80%におよぶと言われ高齢になるほど程度が悪化する傾向があります。

当院実績
当院では全身麻酔による歯石除去、抜歯等の歯科処置を2018年の一年間に74件行いました。
また開院以来の累計は2003年〜2018年で889件になりました。

 
歯周病の主な症状

口臭がきつい、腐ったような臭いがする。
茶色の歯石が歯に付いている。
歯ぐきが赤く、血がにじむ。
よだれを垂らす、痛みでごはんを食べづらそう(猫の場合、犬はあまり痛がらない)。

        

歯石の付いた犬の口 歯石除去後

歯石の付いた猫の口

歯肉に炎症が見られます。

歯石除去後

重度の歯周病の犬

歯石と歯垢で歯が覆われています。
歯肉は赤くはれ上がり、悪臭を放っています。

歯石除去後
重症の場合抜歯する必要があります。

歯周病は自然に治らない進行する病気ですが、治療と予防をすることができます。
歯石を除去し歯周の環境を清潔にすることで歯周病は改善します。
以下に当院での歯石除去についてご紹介します。
なお歯石除去は日帰りで可能な処置です。

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1 全身麻酔をかける

人の場合と違い動物の歯石除去には全身麻酔が必要です。麻酔時間は程度にもよりますが約1時間以上かかることが多いです。麻酔については(全身麻酔について)を参照してください。

      
2 超音波スケーラーで歯石を除去する

超音波の振動で歯石を粉砕して取り除きます。
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3 歯の表面を研磨する

スケーラーで歯石を取り除いた歯の表面は肉眼ではきれいに見えますが、実際には粗く凹凸があります。このままだだと逆に歯石が付きやすくなってしまいます。
そのため歯を研磨ペーストで磨きあげ、表面をスムースにします。

      

回転するブラシで粗研磨します


続いてラバーカップで仕上げ研磨をします

歯石除去前
茶色の歯石が見られます。

歯石除去後
ピカピカの歯が現れ口臭も消失します。
歯周の環境が劇的に清潔になります。

以上で歯石除去は終了です。

      
4 歯磨きをする

せっかく歯石を除去しても、その後に何もしなければ歯石がすぐに付き始めます。
歯石の再付着を防ぐためには、歯磨きをするのが最も効果的です。
当院では歯磨きの方法を飼い主さんに継続して教えていきますので、
多くの方が歯磨きができるようになっています。

      


動物用歯磨きペーストと歯ブラシ、歯磨きガーゼ

 

現在歯石の付いていない犬猫も歯磨きをすれば歯周病を予防できます。
歯石を放置していると、歯周病が悪化し動物の生活の質が低下します。
飼い主さんも動物の口臭に悩まされます。
歯石除去はさほど体に負担をかける処置ではありませんので、
歯石が付いているならば除去してあげてください。

      
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